Begin Again

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Open sourceでDTMしたい!-Ardour source code build編-

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画像引用元:https://ardour.org/
Ubuntu用のDAWとしてArdourを使うことにした。
しかし、Ardour 6は基本的には有料ソフトウェアである。サブスクプランで月額$1から、買い切りプランで$45と比較的安価ではあるものの使用感の分からないソフトウェアにお金を払えるほど裕福ではないため、自分でソースコードからビルドすることで無料でArdourを使うことにした。
なお、有料でインストールしたい場合は以下のページからインストーラがダウンロードできる。(ビルドする必要がないためPCオタク以外はこちらを選択したほうが無難)
ここからは貧乏なPCオタク達のためにUbuntuでのArdourのビルド&アプリアイコンの作成について説明する。(ソースコードからビルドしただけではアプリ起動用のショートカットアイコンが存在しない。詳細は後述。)

1. Ardourのソースコードをgitリポジトリからクローンする。

Ardourソースコードを$ADとして配置するために、cd $ADを行ってからgit cloneする。

$ cd $AD
$ git clone git://git.ardour.org/ardour/ardour.git

ターミナルで上記コードを実行することでHomeディレクトリ上にソースコードがクローンされる。(任意のディレクトリに移動してそこにクローンすることも可能。)

2. ビルドに必要なライブラリをインストールする。
$ sudo apt install libboost-all-dev libasound2-dev libpulse-dev libglibmm-2.4-dev libsndfile1-dev libcurl4-openssl-dev libarchive-dev liblo-dev libtag1-dev vamp-plugin-sdk librubberband-dev libjack-jackd2-dev libfftw3-dev libaubio-dev libxml2-dev libudev-dev libusb-1.0-0-dev libdbus-1-dev libwebsockets-dev libreadline-dev libcppunit-dev -y

上記コマンドには必須でないライブラリもいくつか入っているが、使う可能性が0出ないものは全て記載した。 wiiリモコン用のライブラリは明らかに不要なのでインストールしていない。
次にビルド用の環境が整っているか確認する。

$ ./waf configure

おそらくNot foundやNoという項目が散見されるであろうが、最後に'configure' finished successfullyと表示されれば問題なくビルドできる。

3. ビルドする。

以下のコマンドを打ち込み、コーヒーでも飲みながらしばらく待てばビルドが完了する。

$ ./waf
3. Ardourを起動する。

以下のコマンドを入力することでArdourが起動する。

$ cd gtk2_ardour
$ ./ardev

これでArdourは起動するようになったが、この状態では2つの問題がある。
1つ目は、冒頭でも触れたアプリケーション起動用ショートカットが存在しないという問題、2つ目は、Ardourでオーディオ用に使用できるメモリが制限されているという問題である。

アプリランチャーアイコン問題

まず1つ目の問題について、今のままではArdourを起動するために毎回ターミナルからコマンドを打ち込まなければならない。
せっかくリッチなUIを備えたUbuntuを使用しているのに起動にコマンドが必要なのは面倒臭い。そこで、上記コマンドが実行しているardevファイルを実行するデスクトップショートカットを作成することでこの問題を解決する。
また、単にデスクトップショートカットを作成しただけでは、アイコンをドックに配置できないため、デスクトップではなく、アプリケーションディレクトリにショートカットを作成する。
まず、以下のコマンドを入力する。

$ sudo gedit /usr/share/applications/Ardour.desktop

このコマンドを打ち込み、管理者権限パスワードを入力するとテキストエディタが開く。テキストエディタに以下のテキストを書き込む。Exec欄は各自のソースコードをクローンしたディレクトリによって多少変わるため、ardevファイルのあるディレクトリを指定する。

#!/usr/bin/env xdg-open
[Desktop Entry]
Version=1.0
Type=Application
Terminal=false
Exec=/home/username/ardour/gtk2_ardour/ardev
Name=Ardour
Comment=Ardour
Icon=/usr/local/share/ardour6/icons/ardour-app-icon_osx.png

テキストファイルを保存して閉じるとアプリケーション一覧にArdourが表示されているはずである。

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※画像内の著作物、商標等の知的財産の権利は、各権利者に属します。

メモリ制限問題

2つ目の問題について、せっかくPCにメモリを32GBも積んでいるのにメモリ使用量が制限されていては意味がない。(実際私が32GBものメモリを使用する作業を行う可能性は低いが、これは気持ちの問題である笑)
メモリ制限に関しては、ターミナルで以下のコマンドを打ち込むことでメモリ制限がなくなる。

sudo gedit /etc/security/limits.conf
@audio - memlock unlimited
sudo adduser $USER audio
reboot

メモリ制限の量を変更したい場合は、@audio - memlock unlimitedのunlimitedを好きな値に変更するだけである。

以上で、Ardourのソースコードビルドは完了である。
Linuxの場合は比較的簡単な作業のみでソースコードビルドができた。(WindowsMacではより複雑な作業が必要らしい。)
LinuxでのDTM情報は日本では乏しいため、この記事がLinux DTM界隈の盛り上がりに貢献できることを祈りたい。
Ardourの詳細な使い方等についても後々書いていこうと思う。